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月光仮面は誰でしょう

2021.05.31 掲載

私はこどものころから「月光(げっこう)」ときいただけで胸がときめきます。「げっこう」の響きがいいので、「月の光」ではなく必ず「月光」でなくてはなりません。原点は1958年に始まったテレビ番組「月光仮面」。昔の男の子たちはみんな月光仮面ごっこをしたものです。それからベートーベンの「月光」。そしてブルートレインの「月光」。月は輝くのが夜ということもあって、静寂で陰のある謎めいたものを感じます。
 かつてプロ野球の故・野村克也さんがライバルの長嶋茂雄さんをひまわりにたとえ、自分は月見草だと言ったそうですが、あくまで謙虚で影の存在です。
もう一つの謎めいた特徴は、月が決して裏側を見せないことです。こまかく言えば自転と公転の関係ですが、それはともかくとして、人間に共通するものを感じます。人は裏の顔とでもいうのか、他人には見せない部分があり、他人がそのことに気づいていたとしても、暗黙の了解でしばらくはそっとしておきます。人はそれ自体が謎であって、だからこそ人を引きつけたり、時には人を避けるのでしょう。
ところで、往年のテレビドラマ「月光仮面」の主題歌は、当時知らない人がいないくらい流行ったものです。タイトルはズバリ「月光仮面は誰でしょう」。あくまで謎の存在なのです。人も謎であり、だから天空の月のように形を変え、老若男女それぞれが輝きを放ちます。
5月26日、24年ぶりのスーパームーンの皆既月食は悪天候で顔を見せてくれなかったのが残念でした。きっと見られたくない理由があったのでしょう。(理事 大深俊明)
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