アメリカの大リーグで大活躍の大谷選手は私たちにも誇らしい限りですが、他にもいろいろな２刀流があるものです。広島大学の名誉教授・松田正典先生は、素粒子物理学（私には内容は殆ど分かりません）を研究されながら、もう一方で仏教を学び説いていらっしゃいます。大谷選手がこれまでよく言われてきたように、松田先生も「片手間に研究ができるかと、先輩から叱責を受けた」とお書きになっています。普通の能力や生き方では、なかなか両立は難しいということでしょう。
　私が松田先生を知ったのは、元の職場（知的障害児・者施設）に誠実に仏教を体現されていると思える方がいらっしゃったからです。その方の紹介で、月に１度、福山市内で開かれている「歎異抄（たんにしょう）を学ぶ会」に参加するようになりました。歎異抄とは親鸞上人の著作で、先生のご紹介によれば「日本民族が世界の人々のために残しえた聖典」とあります。
　先生の約１時間半のお話は、歎異抄を説明されながら現代の問題（子育てなど）にも深く切り込まれ、発達心理学の最新の知見も知ることができました。今でも覚えています内容は、相手（子どもなど）に対して「許さないという言葉を発してはならない」という発言です。相手がいくら無茶な行動態度を取ったとしても、そうすると「人間関係が切れてしまう」と話されました。人間関係を上手く結ぶ方法にはいろいろなものがありますが、大切な行動態度だと思います。
　大谷選手のこれからの活躍を期待するのは勿論ですが、松田先生にも大いにご活躍願いたいものです。
　　　　　　　　　　　 理事長　竹内　公昭
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