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55年ぶりの再会

2021.08.06 掲載

 長く生きていると思わないできごとに直面することがあります。先日は55年ぶりの友人と会いました。本や印刷物がたまってしまうのはある意味職業病なのですが、先日、棚の上を整理していましたら小さなダンボルーが見付かりました。取り出して中を見てみると、古い手紙が入っていました。その中の一人が、彼でした。住所は向島(旧御調郡)となっていてそれは彼の実家でしたから、「現在もそこに住んでいるはずだ」と予測できました。早速手紙を出しますと、数日経ってメールで返事が寄せられました。「まさかと思ったが、君だと分かってとても嬉しい」とありました。私の方も全く同じ気持ちでした。
 勤めていた会社の寮を出て、1軒家の2階に彼が住んでいて、私は1階でした。私はその会社を3年間で辞めましたが、彼は5年間勤めたようです。私が京都の大学に進学する際にも、彼がとても心配してくれました。彼は当時から「手に職を付けたい」という気持ちを持っており、造船設計の道に進んで、約10年後には個人の設計事務所を開いたようです。
 福山と向島(現尾道市)ですから、連絡を取れば直ぐに会えたのですが、そういかなかったところに人生の不思議さがあります。お互いに後期高齢者の仲間入りを果たしていろいろと整理が求められている中での再会は、何とも言えない縁を感じるとともに、これからは大切に付き合っていこうという思いに強くとらわれた一日でした。「事実は小説よりも奇なりと申します」とは、昔あったNHKの人気番組の冒頭の決まり文句でした。 前のページに戻る

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